弁護士保険とは、法的トラブルに見舞われた時にかかる弁護士費用を補償するサービスです。しかし、保険に入っていればすべての法的トラブルを補償してくれるわけではありません。
弁護士保険には法人向けと個人向けの2種類が存在し、自分に起こり得るトラブルを想定して保険を選ぶ必要があります。そこで今回は、法人向け・個人向け弁護士保険の違い、法人向けで対応できるトラブルの事例などについてご紹介します。
弁護士保険なら日常生活におけるトラブルでも対応可能?
弁護士保険には、個人向けと法人向けの2つが存在します。保険ごとに対応できる範囲が異なってくるため、法的トラブルによっては加入していても保険金を受け取れない場合もあります。
そのようなリスクを避けるためにも自分に起こり得る法的トラブルは何かを考え、どちらの保険が適しているかを判断しなければなりません。まずは、それぞれの保険内容や特徴をご紹介するので、どちらの保険が良いかの判断材料にしてください。
日常生活に関するトラブルは個人向け弁護士保険
個人向け弁護士保険とは、個人やご家族の方が日常生活に関するトラブルのアドバイスを弁護士から受けられるサービスです。加入後に発生したトラブルに関しては、弁護士などに相談する際に必要な法律相談料と、解決を依頼する弁護士費用などが保険でカバーされます。
弁護士保険における各種費用が補償される法的トラブルは、大きく分けると「特定偶発事故」と「一般事件」の2種類です。
特定偶発事故とは、突然起きた事故によって被保険者や相手が負傷、または所有物が損壊などを原因の法的トラブルを言います。一方で、特定偶発事故ではない法的トラブルを一般事件と呼びます。
【特定偶発事故の一例】
・自動車事故
・人身事故
・火災・爆発事故
・物損事故
・接触(スポーツ)事故
【一般事件の一例】
・男女トラブル、ストーカー
・いじめ
・欠陥住宅
・遺産相続
・離婚問題
どちらの法的トラブルかによって、待機期間の有無や支払われる保険金額などが変わってきます。一般的には、特定偶発事故の補償額は実費相当額になる場合が多いですが、弁護士費用が保険の基準を大幅に超えた際には自己負担金が発生することがあります。
トラブルの内容や置かれている状況によって、補償される範囲と割合は変わってくるので、事前に確認しておくと安心です。
事業に関するトラブルは法人向け弁護士保険
中小企業や個人事業主の経営・事業継続には、様々な法的トラブルの発生リスクが潜んでいます。思わぬトラブルに迅速に対応するために顧問弁護士を雇う企業も多いですが、中小企業や個人事業主にとって高額な顧問料を支払い続けるのは大変なことです。
そこで近年注目を浴びているのが、代金未払いや退職・解雇、返金などの事業者に起こり得る法的トラブルから企業を守ってくれる「法人向け弁護士保険」です。リーズナブルな保険料で、顧問弁護士がいるかのような大きな安心感が得られるほか、高額な弁護士費用を保険でカバーできます。
また、顧問弁護士がいない事業者・いる事業者向けのプランが用意されており、自分に合った補償が受けられます。
・標準プラン
顧問弁護士を雇っていない方向けのプランで、法的トラブルに関する内容をトータルサポートするものです。法律相談から依頼費用までの弁護士費用を補償対象としているため、顧問弁護士がいない事業者に向いています。
・法律相談料保険金不担保プラン
法律相談料保険金を補償外としたプランとなり、顧問弁護士がいる方向けの内容になります。弁護士費用保険金のみを対象とするため、保険料の負担を安く済ませられます。
必要なところだけ補償を受けられるので、顧問弁護士と合わせて賢く保険を利用したい方におすすめです。
法人向け弁護士保険は中小企業に限らず、個人事業主の方でも加入可能です。みなし法人やフリーランス、不動産オーナーといった個人で経営している事業者も利用できるため、トラブルは弁護士に任せて経営に専念することができます。
法人向けで対応できるトラブルとは?
中小企業や個人事業主の身近には、常に法的トラブルが潜んでいます。トラブルゼロを目指すことは大切ですが、どんなに気を付けていても発生してしまうものであり、万が一の際に備えておくのがおすすめです。
続いては、法人向け弁護士保険で対応可能なトラブルの一例をご紹介します。
代金の支払いに関するトラブル
自社が契約通りの業務を遂行したにもかかわらず、取引先が因縁をつけて代金を支払ってくれないことがあります。何度か請求書を送付しても入金がない場合、電話や書面、内容証明郵便などで督促することになりますが、それでも対応してくれないと法的措置を検討する必要があります。
業務が忙しく、書類の準備や相手先へ連絡する時間が取れない場合には、弁護士保険を活用することでスピーディーな解決が期待できます。
返金に関するトラブル
自社の商品購入した顧客から、不具合があるため契約解除をするとクレームを受け、返金を請求されるといった返金のトラブルはよく発生します。たとえ言いがかりのような内容であっても、これ以上大きな騒ぎにはしたくないと思い、返金対応をする企業は少なくありません。
弁護士保険の中には、弁護士直通ダイヤルサービスを提供しているところもあります。トラブルへの対処方法に関するアドバイスがもらえるので、悪質なクレーマーに正当な対応が可能です。
退職や解雇に関するトラブル
問題を起こした従業員に対し退職を勧めたところ、従業員も納得して仕事を辞めることになり、退職金の支払いを行いました。しかし、その後なぜか不当解雇だとして訴訟を起こされることは珍しくありません。
このような場合には、解雇なのか、もしくは退職勧奨なのかを争う必要があり、高額な法律相談料や弁護士費用の支払いが必要です。加入していれば弁護士費用の大部分を保険で補償してくれるので、会社の支出やダメージを最小限にしてくれます。
不動産賃貸物件に関するトラブル
所有する物件に暮らす入居者が隠れてペットを飼育し、退去時に確認したら壁や床の破損が大きかったため原状回復費用の請求を行いました。賃貸契約に違反しているにもかかわらず、入居者は支払いを拒否するというトラブルの場合にも、弁護士や弁護士保険が頼りになります。
相手方との交渉を弁護士に依頼する費用は補償の対象内となるため、保険金の受け取りが可能です。
顧客同士のトラブル
お酒に酔った顧客が店内で暴れまわってお店の備品が破損、さらには止めに入った従業員がケガをし、営業困難となったトラブルも補償対象です。保険金でカバーされるだけでなく、被保険者に配布される「弁護士保険ステッカー」を店舗の目立つ場所に貼ることで、トラブルの発生率を下げられる可能性があります。
トラブルの内容によって対応している弁護士保険が違う!
弁護士保険にも様々な種類があるため、トラブルによっては対応できないケースもあります。たとえば、日常生活におけるトラブルは法人向けでは対応できません。自分が見舞われやすいトラブルは何かを想定し、どのような保険が必要なのかを考えてみてください。
弁護士保険はトラブルが発生してからではなく、事前に備えておくのがおすすめです。どの弁護士保険が良いかと悩んだら、個人向け・法人向けのプランがある事業者のミカタまでご相談ください。
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