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事業者向け弁護士保険は刑事事件でも補償を受けられる?

刑事事件は、犯罪に対して検察官が処罰を裁判所に求め、被告人の罪の有無や量刑を決めます。弁護士を雇うと費用がかさんでしまうため、弁護士保険で対策しようと考えるケースも多いでしょう。

加入している弁護士保険が事業者向けだった場合、刑事事件でも補償は受けられるのでしょうか?今回は、事業者向け弁護士保険で刑事事件への補償は受けられるかについて解説していきます。

目次

刑事事件とは?

事件は、刑事事件と民事事件に分けられます。この2つの違いがよくわからないという人も多いでしょう。まずは、刑事事件がいったいどのようなものか解説します。

刑事事件の特徴

刑事事件は法律が適用となる事件で、被告人の罪が認められた場合刑罰を受けることになります。裁判を行ってからどのような刑罰が適用になるか決定します。

起訴された人は、裁判における権利として弁護活動を行うことが保障されている点も刑事事件の特徴です。

刑事事件とは無縁だと思っている人も多いですが、どのようなタイミングで被疑者になるか誰にもわかりません。自分自身や家族など身近な人が被疑者になった場合、できるだけ早く弁護士に相談しましょう。

刑事事件と民事事件は何が違う?

刑事事件と民事事件にはどのような違いあるかよくわからないという人も多いでしょう。次に、刑事事件と民事事件の違いについて解説していきます。

刑事事件は、先ほども説明したように法律が適用となります。それに対して民事事件は、私人対私人による紛争です。私人というのは、個人はもちろんですが法人も含まれます。

民事事件の具体的な例としては、お金を貸した人が返金を求めたり、自分の土地に不法投棄した人に対して除去するように求めたりするものが挙げられます。

ケガを負わされた被害者が加害者に慰謝料を請求する場合の損害賠償請求事件も民事事件です。

民事事件の場合は、本人同士が和解すれば裁判などの手続きは不要となります。しかし刑事事件だと、対私人ではなく対国家となるので和解すれば事件が終了するというわけにはいきません。

このような点が民事事件と刑事事件の大きな違いです。

刑事事件で弁護士を付けるメリット

刑事事件に巻き込まれたら、弁護士をできるだけ早いタイミングでつけることがポイントになります。弁護士をつけることによって、警察署内にある留置場などで被疑者とすぐに面会ができたり、被疑者が釈放される可能性を高めたりできるからです。

また、被疑者の解雇や退学を防ぐ効果や取り調べ時のアドバイスをして良い方向に話を進められる可能性を高める効果なども期待できます。

刑事事件にかかる費用

刑事事件に巻き込まれ、弁護士を雇うと費用が掛かります。具体的にかかる費用は以下のとおりです。

・法律相談料
法律相談料は30分5,000円ほどが相場です。依頼前の法律相談にかかる費用であり、着手金を支払えば以後発生しません。

・着手金
着手金は起訴前後の刑事弁護でかかります。簡明な事件であれば30万円~40万円が相場です。

起訴前に依頼したタイミングで一度支払い、起訴されたら追加で支払うことになるため合計で60万円~80万円ほどかかります。

・報酬金
事件が解決した時にかかるのが報酬金です。不起訴になった時や裁判で事件が終了した時に発生します。

起訴前の弁護で不起訴になった場合は30万円~40万円が相場です。無罪になった場合は100万円以上かかる場合もあります。

・接見手数料
弁護士が逮捕または勾留されている人に接見した場合にかかるのが接見手数料です。1回あたり2万円~3万円が相場です。

遠方まで足を運ばなければいけない場合は、5万円ほどになる場合もあります。

・勾留執行停止、取消の費用
被疑者が勾留されている場合に勾留執行停止請求や勾留取消請求を行った場合にも費用が掛かります。これらの着手金は、10万円~20万円が相場となっています。

さらに報奨金も10万円~20万円ほど加算されるので、20万円~40万円ほどかかると思って良いでしょう。

・保釈請求の手数料
保釈請求を行う場合の手数料は、着手金が必要になる場合もありますが報奨金のみとしているケースが多いです。着手金と報奨金は、それぞれ10万円~20万円が相場です。

ただし保釈申請をする時は裁判所に保釈保証金を支払わなければいけません。保釈保証金は150万円ほどかかるケースが多いので、保釈には200万円ほどかかることを覚悟しておきましょう。

・示談交渉にかかる費用
示談交渉にも費用がかかります。相場は、着手金も報奨金もそれぞれ10万円~20万円ほどです。

事業者向け弁護士保険は刑事事件でも補償を受けられる?

事業者向けの弁護士保険に加入している場合、刑事事件の補償を受けられるのか気になる人もいるでしょう。続いては、その疑問に答えていきます。

弁護士費用は補償を受けられない

弁護士保険に加入していたとしても、弁護士費用として刑事事件に関係するものは補償されません。

事業者向けの弁護士保険は、職業・事業活動以外で発生したトラブルや自動車交通事故、法的な根拠がないケース、契約している法人や個人事業主以外が直面した法的トラブルに関する補償はできないことが定められています。

相談料は支給される

刑事事件にかかる弁護士費用を補償してもらうことはできませんが、相談料であれば支給されます。しかし、トラブルになった相手がわからないケースや請求権のベースになる事実がわからないケースなど、相談料が支給されないパターンもあるので注意が必要です。

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刑事事件以外に相談料のみ補償を受けられる法的トラブルの種類

刑事事件以外にも、相談料のみ補償を受けられる法的トラブルがいくつかあります。事業者のミカタを例に、どのような法的トラブルだと相談料のみ補償を受けられるのか解説します。

破産・民事再生・特定調停・任意整理

破産や民事再生、特定調停、任意整理といった法的トラブルは、相談料のみ補償可能となっています。

破産は、会社や個人が債務超過や支払い不能な状態に陥った時に適用となります。裁判所が債務者の財産を処分し、すべての債権者に平等に配当して公平な清算を図る方法です。

民事再生は、債権者の多数の同意を得た上で裁判所の認可を受けた再生計画を進めることを指します。

特定調停は、特定債務などの調整を促進するための特定調停法に基づいて金銭債務の内容などを変更することです。任意整理は、借金の返済が難しくなった時に利息などの軽減を交渉します。

事業資金の出資・有価証券投資に関する内容

事業資金の出資や有価証券投資に関する内容も法的なトラブルとして挙げられます。事業資金の出資に関するトラブルには、創業メンバーの仲違いなどがあります。

有価証券投資に関するトラブルには、未公開株の投資を勧められて購入資金を渡したにも関わらず、連絡がつかなくなってしまうなどがあります。このようなトラブルの場合、事業者向けの弁護士保険では相談料しか補償されません。

連鎖販売取引・無限連鎖講などの取引に関する内容

連鎖販売取引・無限連鎖講との取引についても、事業者向けの弁護士保険だと相談料のみの補償となります。

連鎖販売取引は、いわゆるマルチ商法のことです。マルチ商法が違法というわけではありませんが、特定取引法上の連鎖販売取引として規制が適用となります。

連鎖販売取引は、

・物品の販売または役務の提供の事業
・物品の販売または役務の提供の事業に関する再販売・受託販売・販売のあっせん
・特定利益(紹介・あっせんの対価)が得られる
・入会金や商品購入費、研修費等などの金銭的な負担が伴う

といった条件を満たした取引を指します。

無限連鎖講は、ねずみ講のことです。ねずみ講は、法律上で禁止されています。無限連鎖講の罰則は以下のとおりです。

・開設・運営をすると3年以下の懲役または300万円以下の罰金
・業として勧誘すると1年以下の懲役または30万円以下の罰金
・一個人が勧誘すると20万円以下の罰金

刑事事件も相談料なら補償してもらえる

刑事事件における弁護士費用は、事業者向けの弁護士保険で補償してもらうことができません。しかし、相談料のみであれば補償してもらえるので、一部利用可能だと言えます。

そのため、事業者向けの弁護士保険に加入しておくと少しではありますが恩恵は受けられます。事業者のサポート体制が整っている保険を選びたいのであれば、事業者のミカタがおすすめです。

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