ネット上の誹謗中傷は、個人だけではなく企業が対象になるケースもあります。誹謗中傷された場合、開示請求を検討することでしょう。開示請求をする際、弁護士保険を活用できるか気になっている人もいるかもしれません。
そこで今回は、開示請求とは何か、開示請求はどのような流れで行われるのか、といった疑問にお答えしていきます。さらに、弁護士保険を使ってネットでのトラブルを解決した事例もご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
開示請求とは?
開示請求をする機会はあまりないことから、どのようなものかわからない人も多いでしょう。まずは、開示請求がどのようなものか、基本的な部分から解説していきます。
プロバイダ責任制限法第4条に基づいた情報開示を行う
開示請求は、プロバイダ責任制限法第4条に基づいて情報開示を行うことです。インターネット上で第三者や企業を誹謗中傷した発信源の情報をプロバイダに関して開示するよう求めます。
違法性がある書き込みによって名誉棄損や誹謗中傷を受けたら、被害者は損害賠償請求が可能となるのです。その際、加害者は刑事上の責任を負う可能性もあります。
損害賠償請求のために加害者を特定することが目的
情報開示の目的は、損害賠償請求のために加害者を特定することです。インターネット上の書き込みは、匿名で行われるケースが大半です。加害者となる人物の特定は容易ではありません。
誰が加害者なのか特定できなければ、被害者は損害賠償請求ができません。被害届を出すためにも、相手の情報がわからないと適切な処分を与えられなくなってしまいます。元になる書き込みを消したとしても、別の場所にも同じ内容がいくつも書き込まれているといったケースも珍しくありません。
掲載されている情報を消すだけでは、被害者の損害を回復することにつながらないと言えます。そうなることを防ぐためにも開示請求を行い、加害者を特定しようと考える企業は多いです。
開示請求の流れ
開示請求を考えているのであれば、どのような流れで行われるのかあらかじめ把握しておくのがおすすめです。どのような流れで行われるのかみていきましょう。
証拠のスクショなどを集める
誹謗中傷されたという証拠を残しておくことは必要不可欠です。掲示板やSNSなどのスクショを集めておきましょう。
TwitterやInstagramのストーリーズは、一定の時間が経過すると消えてしまいます。書き込みを加害者が消してしまうことも考えられます。そのため、スクショしておく必要があるのです。
証拠になるので、きちんとスクショした画像は保管しておいてください。
IPアドレスやタイムスタンプの開示請求を行う
証拠を元にして、裁判所に発信者情報開示を行います。基本的には、加害者は特定の通信会社を経由してネットに接続しています。そして、同じサイトで誹謗中傷を行っているといったケースが多いです。
そのような場合は、サイトの管理者に発信者情報開示請求を実施します。サイトの管理者が所持している情報は、IPアドレスやタイムスタンプです。タイムスタンプは、改ざんされていないことを示すためのものになります。
発信者特定のヒントになるため、IPアドレスやタイムスタンプの開示請求は必須です。2022年10月には、プロバイダ責任制限法が改正されました。
改正されたことで、開示請求を1つの手続きだけでできる非訟手続きが創設されています。この非訟手続きは発信者のプロバイダを特定することが容易にすることを目的として創設されました。
また、改正後はログイン時の情報も開示できるようになっています。ログインした時のIPアドレスから通信経路をたどり、発信者を特定することが可能です。
発信者のプロバイダを特定する
裁判所より発信者情報開示の命令が出たら、サイトの管理者からIPアドレスの開示をしてもらいます。そのIPアドレスから、発信者がどの通信会社を使っているのか、などを特定していきます。
プロバイダに開示請求をして、アクセスログの保存を依頼する
IPアドレスからプロバイダを特定できたら、プロバイダの事業者に対して同じIPアドレスを所持する人の情報開示を求めます。さらに、同じIPアドレスを所持する人がサイトに接続した記録の保存も申請します。接続した記録は、アクセスログと呼ばれているものです。
アクセスログは、一定期間経過すると消去されてしまうため、情報開示請求は早めに行うようにしましょう。保存されている期間は、約3ヶ月です。
プロバイダから発信者の個人情報を開示してもらう
プロバイダ事業者が所持しているIPアドレスを活用し、発信者の氏名や住所、メールアドレスなどの開示をしてもらいます。発信者となる人物の情報が手に入るので、発信者がどこの誰なのか知ることができます。特定できれば、弁護士などに相談して損害賠償請求などを行えるようになるのです。
時間かかかってしまいますが、きちんと対応してもらいたいと考えているのであれば開示請求はすべきだと言えます。情報開示の手続きにかかる時間は、少なくても3ヶ月くらいを見積もっておきましょう。2021年4月の法改正で手続きは簡略化されていますが、それでもある程度時間はかかってしまいます。
開示請求の手続きは煩雑なので、個人で行うのは難しいです。確実に手続きを行うためには、弁護士に相談し、対応してもらうのがおすすめです。
弁護士保険を使ってネットでのトラブルを解決した事例
インターネット上のトラブルに巻き込まれ、弁護士保険を活用して解決した事例もあります。最後に、どのような事例があるのかご紹介します。
・トラブルの内容
インターネット掲示板に、提供している商品や会社を誹謗中傷するような内容が書き込まれました。内容には悪意があり、事実とは異なるものです。取引先からは、その書き込みに関する問い合わせが相次ぎました。
そこで弁護士に依頼し、書き込みを削除してもらうようにお願いすることに決めたという事例です。ただ書き込みを削除するだけではなく、書き込んだ相手がわかったら、慰謝料の請求も行いたいと被害者は考えていました。
・自分で解決できる?
自分で解決しようとした場合、掲示板の書き込みを削除してもらうくらいしかできない可能性があります。削除してもらったとしても、同じ内容を書き込まれてしまい、いたちごっこになることも考えられます。情報開示や慰謝料の請求も難しくなるでしょう。
・弁護士保険を活用した場合は?
弁護士保険に加入していると、情報開示などを得意とする弁護士への相談がしやすくなります。弁護士から運営会社へ書き込みの削除を依頼し、情報開示を行うこともできます。
発信者がわかれば、慰謝料の請求も可能です。実際に、自社商品などの誹謗中傷を受けた企業は100万円の慰謝料を請求でき、同じようなことを二度としないという誓約書も書面で交わすことができました。
書き込みをしないという誓約を結べたことも大きな成果です。弁護士保険に加入していると、法律相談料や着手金、手数料などが保険金として受け取れます。そのため、被害者側は経済的な負担を抑えながら、弁護士に問題解決のサポートをしてもらえます。
ネット上で誹謗中傷されている場合なども弁護士保険が適用に!
インターネット上のトラブルの中でも、誹謗中傷は多く見られます。個人的な誹謗中傷も名誉棄損などになります。企業や提供する商品・サービスに関する誹謗中傷が書き込まれるケースも珍しくありません。
そのような時、自力で解決するのは非常難しいため、弁護士への依頼を検討するでしょう。弁護士に依頼して情報開示などを行う場合は、弁護士保険に加入していると負担を軽減できます。数ある弁護士保険の中でも事業者におすすめなのは、事業者のミカタです。
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